設立の経緯

1.設立の経緯

  平成4年(1992年)7月に水産庁初の研究組合としてDHA高度精製抽出技術研究組合(以下「研究組合」と略称)が設立され、理事長にマルハ株式会社の中部慶次郎社長が就任され、当初3ヵ年計画で15社が参加した。DHAの研究課題は非常に多く、研究組合は更に2ヵ年延長となり平成8年度まで継続された。この間研究成果の発表や講演会の開催などで関係者の関心も高まった。また、海外の研究もますます盛んとなり新たな知見が海外の学会誌、医学関係誌などに頻繁に掲載されるようになった。これらの情報はDHA、EPA関連商品を扱う企業にとっては欠かせない貴重な情報であり、DHA、EPAに関係する企業の情報の交換の場として新たな団体を設立することが望まれるようになった。
  このため、研究組合では平成8年後半より懇談会を開き、DHA・EPA関係の団体設立について検討が行われた。幸い、財団法人日本水産油脂協会の野中道夫理事の斡旋により、平成9年(1997年)5月21日、研究組合の懇談会の代表が、この新たな団体の設立について同財団に要請し「DHA・EPA協議会」の設立が確認された。水産油脂協会は核となる「事務局」を引き受けてくれ、ここを拠点に団体設立の運びとなった。
  「事務局」の所在地は同財団内となり、同財団の役員を責任者として職員2名が事務局を兼務することになり、日常業務に支障のない範囲を基本として作業に当たることで合意した。協議会の運営にかかわる費用は独立の会計とし、普通預金口座を開設し、財団法人の会計に準拠して経理処理を行うことにした。早速専用の電話、ファックスを貸与された。事務局としては先ずパソコン1台を購入して作業を開始した。

2.設立発起人と設立趣意書

  その後、協力して広く発起人会社の参加を呼びかけ、42社が発起人会社(代表 マルハ株式会社代表取締役社長 中部慶次郎)となり、平成9年7月1日、関係会社に「DHA・EPA協議会設立趣意書」をお送りし会員募集したところ、46企業、6団体から参加申込があった。
  設立趣意書は下記の通りである。

DHA・EPA協議会設立趣意書

  昨年、厚生省では成人病の呼び方を生活習慣病と変える事にしましたが、近年我が国に於いても中高年の心筋梗塞、大腸癌、肺癌等の欧米型の成人病が増加の一途を辿っており、この原因の一つとして食生活の洋風化に伴う栄養成分のバランスの変化が挙げられております。DHA・EPA等の海産n-3系高度不飽和脂肪酸が心筋梗塞、各種炎症、アレルギー性疾患、乾癬症等に抑制的な生理活性を示す事が、内外に於ける疫学調査、臨床試験等の結果明らかになりそれに伴って諸種の栄養補助食品や医薬品までも上市されて参りました。更に、DHAには神経系機能の維持向上(乳児期の脳機能の発達を含めて)の作用をも期待される事が各種の研究結果から明らかになり、DHAを添加した粉乳他各種の強化食品が上市されております事はご承知の通りであります。この間、DHA・EPAに関わる企業も抽出、精製、添加整形、販売流通を含めて数十社にのぼっております。DHA・EPAはその化学構造上酸化され易く、消費者に良質な製品を安定的に供給する事が品質への信頼を保つ上で極めて重要な事と考えます。更に、食品分野での成分表示や賞味期限表示等に関する行政の動き等に就いても、関係各社が緊密に連絡を取って対応すべきものと考えます。n-3系高度不飽和脂肪酸の生理活性の研究につきましては、我が国では平成4年に日本脂質栄養学会が、国際的には国際脂質学会(International Society for the Study of Fatty Acid and Lipids ;略称ISSFAL)が発足し、現在世界の数多くの研究者によって鋭意研究が行なわれ、新しい論文が次々に発表されておりますが、個々の企業では此等の総てを入手するには多大の労力を要するのが実情であります。こうした現状に対応し、DHA・EPAに関わりを持つ企業が集まって<DHA・EPA協議会>を設立し、高品質の製品の生産、供給、消費者へのPR、関係する行政の働きかけ、対応等を適切に推進し、情報の共有と国民の健康に必要なDHA・EPAの需要の喚起を計り、ひいては業界の発展を意図するものであります。
  上記、本協議会設立の趣旨を明らかにし、関係各位のご賛同と積極的なご協力を仰ぐものであります。

3.設立総会

  上記の参加申込があったことにより、平成9年11月28日、虎ノ門パストラルにおいて設立総会を開催し、規約、事業方針、平成9年度事業計画および収支予算、事業執行体制を決定し、DHA・EPA協議会が設立された。
  設立総会には、来賓として官庁から農林水産省水産庁 嶌田道夫長官、食品流通局食品油脂課 任田耕一課長他、関係団体からは(社)大日本水産会 佐野宏哉会長、(財)日本水産油脂協会 須田浩行理事長、学会からは名古屋市立大学薬学部 奥山治美教授、成蹊大学工学部 戸谷洋一郎教授、農林水産省食品総合研究所 鈴木平光室長などの方々が臨席された。
  なお、設立総会の準備、運営には(財)日本水産油脂協会の多大なご協力を頂いた。

(1)設立時の会員数   正会員 40   賛助会員 15

  • 正会員:DHA・EPAの生産、販売に関わる企業、団体で本会の趣旨に賛同する者
  • 賛助会員:正会員以外で本会の趣旨に賛同する企業・団体等


(2)規約で定められた目的、事業内容、組織等

    「目的」 第3条
    本会はDHA・EPAに関する会員相互の連絡、協調により、国民の健康上必要なDHA・EPAの消費者への普及、関連事業の発展に寄与する。

    「事業内容」 第4条
    本会は前条の目的を達成する為に次の事業を行なう。
    • (イ)会員相互の交流、情報交換。
    • (ロ)国内外の生理活性、生産技術に関する新しい知見の収集、配布。
    • (ハ)研究会、講演会の開催。
    • (ニ)行政への対応。
    • (ホ)消費者に対する広報活動。
    • (ヘ)その他本会の目的達成に必要な事項。

    「組織運営」 第2条、第7条、第13条
    • ・総会(年1回)で事業方針・予算・決算を審議決定
    • ・幹事会(原則として毎月1回)で事業運営を実施
    • ・役員  会長 1名
    •       副会長 2名
    •       幹事 12名以内
    •       会計監査 1名

事務局所在地 財団法人日本水産油脂協会内